自然金の異物除去方法
 
  
  
鉄に石英などの異物が気になる
この茶色い部分が無ければ、もっと綺麗な色になるのに。
 異物を全部取って、金だけにして楽しみたい。
 錆びたように赤茶けたり黒くなっている鉄、白色の石英などを薬品などを使って取り除くこともできます。
 
  
  
作業前のご注意
このページでは、洗浄といった安全で簡単な方法から、危険な薬品を使って異物を除去する方法までご案内しています。
 中には劇物に指定され、体に付着する・気化した薬品を吸い込むことで死亡事故に繋がる、非常に危険度の高い薬品も含まれます。
 作業をする前に、必ずそれぞれの薬品また危険性についてお調べ頂き、防護服や眼鏡の着用、換気や使用する用具・場所などに十分すぎる注意を払ってください。
また異物を取り除くということは、それ自体の重さが減るということになりますので、10.1グラムなど、10グラムを超えていたものがそれ以下になるようなことも起こります。
 「〇〇g超え」という形ではなくなってしまうかもしれませんので、その点も考慮して行うようにしてください。
 
  
  
まずどのように取るのか考える
自然金から異物を取り除く上で、一番気を付けていただきたいのは、「どのように綺麗にするのか」を決めてから取り掛かること。
 例えば、自然金の片面には土があって、もう片面には石英があるような場合で、片面の土だけ落としたい場合など。
 ぬるま湯や薬剤などに、自然金自体を漬けこんでしまうと、石英も一緒に落ちてしまう可能性があります。
どの程度しっかりした組成なのか、脆い箇所はないか等を考えて頂いて、例えば砂が付いている部分だけを、爪楊枝などでゆっくりと落とす。
 このように、自然金全体の状態を考えながら、作業方法を考えて頂く必要があります。
 漬けこむ形は工程としては簡単ですが、自然金全体に対して作用してしまいますので、その点に気を付けて進めてください。
 
  
  
最も基本的な除去方法(土や砂など)
自然金自体の作りがしっかりとしている、崩れにくいものであれば、爪楊枝や歯ブラシなどを使って、少しづつ除去していきます。
 中には土が乾燥して、非常に硬くなっている場合がありますので、ぬるま湯などに漬けて、柔らかくなったところで再度試してみてください。
 
  
 ご家庭向きではありませんが、超音波洗浄機があればより効果的です。
 機械自体が少し高くついてしまいますので、親しいジュエリー店があれば、お店には必ず備え付けがありますので、自然金自体が「壊れても良い」という条件などを提示して、ご相談いただくのも一つの手です。
 ジュエリーなどの洗浄とは違い、洗浄槽に土や砂粒が残る、自然金が崩れてしまう可能性があるなど、お店にはリスクしかない作業ですので、あくまで破損等の起る可能性を理解した上で、保証を求めないことを条件に、断られることを前提にご依頼ください。
 
  
  
錆び色・黒色の異物・不純物がある場合
金が地中で形成される過程で、鉄を多く含む場所の場合、自然金自体に鉄が巻き込まれている・付着していることがあります。
 茶色や黒色等、錆びているように見えるものは、実際に鉄分が錆びているものである可能性があります。
 このような場合は、市販のさび落とし剤(リン酸を含む)を使ってみてください。
 
 
 <オーストラリアで市販されている錆び取り剤>
 作用する主成分:リン酸(無機酸)
 
 
  
 ガラスやプラスチックなどの容器に、薬液を入れて自然金を漬け置きます。
 鉄が錆びている場合は、細かな泡のようなものが立ち、少しづつ錆びの部分が溶けていきます。
 ただし、鉄・錆びに対して表面的な部分に有効で、厚みのある部分では、あまり効果はありません。
 錆び取り剤などの酸では、金そのものは溶けません。
 
  
 またもう1つ、鉄分を溶かすために良く紹介されているのは塩酸です。
 濃度の高い塩酸を国内で入手するのは非常に難しく、市販されている希塩酸では濃度が薄いため、あくまで参考までです。
 塩酸の含まれている、自然金を数時間から数日漬けておきます。
 リン酸に比べて、鉄を溶かすという点では優れていますが、自然金の金の表面が白濁化する傾向があり、洗っても元の輝きを取り戻すことができない場合がありますので、あまりお勧めできません。
 
  
  
石英がある場合
どのように石英が含まれているかによりますが、虫眼鏡などで拡大して見た時に、崩れやすい形・組成であれば、これも細いドライバーの先や爪楊枝など、物理的な方法で触って落とせます。
 しっかりと食いついているような場合や、取り除くことで、自然金自体が壊れる・崩れてしまうと思われる場合は、石英は落とさずにそのままにしておくことをお勧めします。
 
 
  
  
鉄や石英、汚れなど全般に利く効果的な方法(※劇薬注意!)
石英や鉄分、汚れなどもまとめて落としてしまいたい。
 そういった要望に応える、異物をまとめて落としてしまう方法もあります。
 フッ化水素酸が含まれている洗浄剤、特にアルミニウムやステンレスを綺麗にする目的で、車・カーケア用品として販売されています。
 ただし、非常に危険な薬物ですので、現在はこれらが含まれていない商品が主になりますので、使用されている薬品名をご確認の上でご購入下さい。

この方法をお試しいただく前に、フッ化水素酸自体が非常に危険な劇薬であることをご確認ください。
 こちらのウィキペディアの「フッ化水素酸」のページでも、気化したものを吸い込んだ・体に塗られての死亡事故について記載されています。
 お試しいただく場合は、ご使用の際はもちろん、保管にも細心の注意を払ってください。
 出来る限り安全な方法で、眼鏡や手袋を装着したうえで、換気の良い場所で作業を行ってください。
  
 <オーストラリアで市販されているカー用品>
 作用する主成分:フッ化水素酸
 
洗浄液に漬けるという点では同じですが、漬け置く容器は、ガラスは溶けてしまいますので、必ずプラスチック容器をお使いください。
 目を離している間に、容器が溶けた場合のことも考えて、できれば屋外や離れでお試しいただくことをお勧めします。
 除去したい異物・不純物にもよりますが、1日から1週間程度まずは漬け置いてください。
ほとんどの異物は除去、また石英も脆くなって、崩れるように取りやすくなります。
 それでも取れない場合は、2~3ヶ月ほど放置すれば、大きめの石英もボロボロと崩れるようになります。
 ただし、気化した洗浄液が充満するような部屋、誤って子供が触ってしまうような場所では、絶対に放置しないようにしてください。
 
  
  
 自然金の輝きがくすんできたように思われる場合は、簡単に輝きを取り戻す方法があります。
 基本的なお手入れ方法は、こちらのページから。

